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飛騨にありて福島を思う

農学系学生の進路と第1次産業

先日、とあるシンポジウムで見かけた統計データが印象に残っている。全国の農学系大学生の進路先内訳というものだ。

 

改めて最新の学校基本調査(令和2年度)を見てみると、その内訳は以下のようになっていた。

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何よりも印象に残っているのが、第1次産業である農業・林業に就職する学生の割合が全体の4%にとどまっているということだ。

職業に貴賤は無いのは当たり前のことである、と断った上で言うと、やはり少し寂しい結果に感じる(そういう自分は新卒で公務員になっていたが・・・)。

 

日本の食を支える「農」、国土の7割を占める森林に携わる「林」、この2つの産業がいかに重要なものであるかは言うまでもない。一方で、従事する方々を別の立場からバックアップするという職も重要だ。さらに言えば、どんな産業も、巡り巡って第1次産業に少なからず関わっているだろう。しかし、最後はやっぱり現場、現場なんだ。農水省で働く人の何割が土を耕したことがあるのか。死傷者年千人率()が全産業中最も高い林業の世界を覗いたことがあるのか。

 1年間の労働者千人あたりに発生した死傷者数を表す数値。令和元年度:全産業平均2.2に対し林業20.8ちなみに次点で木材・木製品業の10.8。

 

僕が林業行政職時代に感じたこと、そして退職し木工を始めてからも思うこと、それが「当事者意識の無さ」。あの時、自分は林業従事者の皆さんと同じ目線で森を見ていたつもりで見ていなかった。やっぱり心のどこかで、自分は当事者でないと思ってしまっていた。

 

そんな自分が、現場が大事と言っても説得力が無いが、反面教師として多くの学生に見てもらいたい。どんな職業に就いても、現場と同じ目線で見ること。これが大事。新卒で第1次産業に就かずとも、巡り巡って就くのもアリだ。僕の大学時代の友人の一人は、修士号を取ったうえで林業の現場へ飛び込んだ。彼はなにか面白いことをしでかしそうだ。

農学系学生が、現場に期待される人材であってほしい。

 

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