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飛騨にありて福島を思う

続・浜通りに原子力の学校ができる!

先日、東北大学福島県の沿岸部(浜通り地方)に、廃炉放射線医学を学べるキャンパスを設置する構想を立てているというニュースを紹介した。

(過去記事はこちら↓)

 

monono-aware.hatenablog.jp

 この続報が入ってきた。仮称「福島浜通り国際キャンパス」を設置すると正式に公表されたのだ。めでたい!

(以下、河北新報オンラインへのリンク先)

https://www.kahoku.co.jp/tohokunews/202004/20200428_73018.html

キャンパスで学べる分野は、廃炉放射線医学、ロボット、環境・エネルギー、産業、災害科学の6分野。各分野に教授等が3人~6人配置されるという。

課題として、研究者が利用する宿泊、医療施設の整備が挙げられている。昨今の国立大学の経営状況を鑑みれば、国の支援は必須になるだろう。

 

さて、そもそもこのような動きになった理由とは何か。

2011年3月11日に発生した東日本大震災原発事故で、福島県の沿岸部である浜通り地方は壊滅的な被害を受け、今なお復興の途上である。

そんな中、この浜通りの産業を復活させよう、いや新しく生まれ変わろうという動きが生まれた。これが「福島イノベーション・コースト構想」という国家プロジェクトだ。

構想の重点項目は、それこそ廃炉やエネルギー、ロボットや農林水産業といった、福島県が抱える課題(日本全体が抱える課題と言ってもいいだろう)に対して最先端技術を駆使して取り組んでいくというもの。「浜通りシリコンバレーになる」と例える人もいる。

 

この構想の一環として、国際教育研究拠点を設置しようという動きがあり、復興庁主導で全国7つの大学へ拠点設置のヒアリングが行われた。こうして東北大学が名乗りを上げたというわけだ。

 

ちなみに東北大学以外にも、筑波大学お茶の水女子大学も独自の提案を行った。

個人的に一番驚いたのは、福島大学も名乗りを上げていたことだ。

地元の国立大学が名乗りを上げないわけないだろうと思われるだろうが、福島大学の理系学部は専門性という分野で物足りない印象があり、かつては生物、化学、物理学を一緒くたにした総合的な学部が一つあるだけであった。

2019年度からようやく農学部に相当する「食農学類」が始動したばかりであるが、自然資源豊かな福島県において、それを学べる場所が今まで無かったというのは、あまりにももったいない話だ。

余談だが、僕は福島県外の大学の農学部・林学科で林業を学んだが、自分の高校時代に福島大学に食農学類が出来ていれば、自分の進路はどうなっていたか分からない。

話を戻すと、福島大学は大学院の食農学類の一部を浜通りに移転させる予定だという。まあ地元の大学として、それくらいのことはやってもらわないと。今後の進展に期待が膨らむ。

 

福島イノベーション・コースト構想の内容については、今年6月に最終報告書が提出されるという。コロナウイルスに翻弄される日々の中で、ゆっくりと、しかし確実に福島県は前へと進んでいる。

「革新の浜通り」の実現をこれからも見守っていきたい。