もののaware

飛騨にありて福島を思う

「昨日スーパー行ったんだっけ」~伝わらない福島弁~

最近、飛騨高山にいながら福島県人と知り合う機会があり、とても嬉しかった。

ただ、その人に言われたのだが、どうやら僕はあまり福島訛りが無いらしい。思えば大学時代を含めれば福島を離れて9年目になる。福島訛りが抜けるどころか、引っ越し先の方言が身についてしまうくらいになってしまった。

そんなこともあり、地域の伝統と文化を体現している方言や訛りを忘れてしまうのはマズイと危機感を抱いたので、改めて福島弁というものを思い出してみた。

福島弁の特徴は、無アクセントで語尾だけ音が上がるといった具合だ。そのせいか、本人にその気がなくても、怒っているかのように取られることがしばしばある。確かに実家に帰ると、親の説明口調がなんだか説教のように聞こえることがある(実は本当に怒っていたのかもしれないが・・・)。

福島県人にしか伝わらない言い回しや言葉もたくさんある。その中でも、特に県外人からして理解不能なのは、「~したんだっけ」という言い回しだろう。

例えば、

「ちょっと聞いてよ。昨日スーパー行ったんだっけ!」

などと使う。これは決して記憶喪失の自問自答ではない。標準語に直すと、「昨日スーパー行ったのよ」「昨日スーパー行ったわけよ」といった具合に、報告の意味を表す言い回しになる。

県外人からすれば、「聞いてください。私は昨日スーパーに行ったでしょうか?」という、飲みすぎで記憶を失くした大学生のような発言を聞かされることになるわけだ。しかも、前述したとおり、福島訛りは怒りを感じさせるアクセントだ。怒り口調でスーパー行ったかどうか聞かれても、「そんなことは知らん・・・」と思われること請け合いである。

しかも、上の文脈からも分かるように、「ちょっと聞いてよ、昨日スーパー行ったのよ。そうしたらさ・・・」というように、その後に話が展開していく場面で使われることが多い。そしてこの文を福島弁に直すと、

「ちょっと聞いてよ、昨日スーパー行ったんだっけ!したっけ・・・」

となる。「したっけ」も福島弁であり、「そうしたらさ」という意味がある。言われる方からすれば、「私はスーパー行きましたか?(怒)そうしたでしょうか?・・・」というしつこい自問自答を聞かされることになる。この人大丈夫かな?と思われかねず、非常に危険である!そしてこの言い回しを、大学時代僕は無意識のうちに使っていたため、たくさんの誤解を生んだことだろう。

ただ、ユーモアあふれる?言い回しとして、個人的には非常に気に入っている福島弁の一つだ。

 

こうやって福島弁について思いを巡らせながら文章を書いていると、もっと福島弁を思い出したくなってきた。いずれ自分が屋号を持つことがあれば、福島弁を取り入れてみようかなと思っている。

 

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