もののaware

飛騨にありて福島を思う

大学生向け、シェアハウスのススメ。

今日くらいから国公立大学の前期入試合格発表が始まりましたね。私事ですが、高3の今頃、パソコンの前で30分くらい前から待機したものの、一覧に自分の番号が無くショックを受けたのを覚えています。まあ前期で受けた学校はどうしても行きたかったわけじゃないけどね(これを、取れない葡萄は酸っぱい、と言います)。受験生の皆さん、どんな結果になっても心配はいりません。人生どうとでもなります!

さて、先日こんな記事を見つけました。内容は、山形県山形市、県内の大学、県住宅供給公社が協定を結び、空き家を整備して大学生向けのシェアハウスを作ろうというもの。

(リンク先:河北新報ホームページhttps://kahoku.news/articles/20210305khn000027.html

これはとても面白そうな取り組みですね。僕自身、大学時代は学生寮、現在は岐阜県でシェアハウスで過ごしていますが、共同生活のメリットはとても大きいと自信を持って言いたい!そこで今回は、僕自身の経験を踏まえて、大学生へ向けた共同生活のススメを綴りたいと思います。

 

①僕が学生生活を過ごした岩手大学北謳寮(ほくおうりょう)について

 基本データ

・月額14,000円+水道光熱費ワリカン+共益費1,000円

・4畳半

・キッチン、トイレ、冷蔵庫、デスク、ヒーターが各部屋にある

・風呂、洗濯機だけ共用

 

一般的に学生寮と言うと、厳しい上下関係、理不尽な規律、いじめ・嫌がらせなど、マイナスなイメージが先行しがちですが、僕が過ごした北謳寮は全くそんなことはありませんでした。そりゃあ最初は不安でしたけど。

まず入寮期間が基本2年間ということで、ヤバい先輩が長期間居座って幅を利かせるということはありません(笑)そもそもヤバい先輩はいませんでした。いたって普通の上下関係があるだけです。

規則も、部外者の宿泊禁止、共用部分の定期清掃の実施、寮同士の交流行事への参加くらいで、充分我慢できる範疇でしょう。

ちなみに風呂と洗濯機だけ共用です。風呂は大浴場で、管理人さんがお湯張と清掃をしてくれます。ありがたや。

あと何より、同級生同士の仲はかなり良かったですね。誤解を恐れず言えば、寮生はその殆どが苦学生。似た境遇を持つ者同士、学科やサークルで出会う友達とは違った友情みたいなものがありました。もちろんいじめ・嫌がらせの類なんてありません。大学生にもなれば、それぞれが充実した生活を送りたいので、いじめする暇なんて無いですよ。そんなことをする人がいるとすれば相当な暇人です。

他にも書きたいことはたくさんありますが割愛。一言いえば、入って後悔はありませんでした。ちなみに4畳半は言うほど狭くないですよ※過去記事参照↓ 

monono-aware.hatenablog.jp

 

②現在過ごしているシェアハウスについて

 基本データ

・月額25,000円+水道光熱費ワリカン

・6畳~8畳

・昔の一軒家なので、各部屋にカギは無い。

・キッチン、風呂、トイレ共用

・畑付き

・インターネット付き

 

僕は今、岐阜でシェアハウス生活をしていますが、とてもいい場所です。入居者は全部で4人。うち3人が木工関係者と言う奇跡。シェアハウスと言うと、少し前に流行った番組「テラスハウス」のイメージがあるかもしれませんが、あんなのはマヤカシです。あんなキラキラした共同生活、息苦しくてしょうがないでしょう(笑)。

うちのシェアハウスでは、食事を一緒に摂るということはまずありません。けっして不仲ということではありません(笑)たまたまキッチンで一緒になれば成り行きで食べますけど、そもそも皆それぞれに生活リズムがあるのでそのサイクルを合わせようなんてことはしません。それでも1年間の節目の時期にはみんなで飛騨牛を食べようというくらいには仲は良いですよ。

それに、誰にも会いたくない時だってありますよねそりゃ。そんなときは帰ったら即自室に向かって寝ればいいだけです。そもそもうちのシェアハウスはいつも静まり返っているので入居者同士出くわすことも少ないのですが(笑)共同生活だからって自分の時間をすべてシェアする必要は全くありません。

あと田舎のシェアハウスなだけあって畑があるのは嬉しいですね。去年はナス、トマト、キュウリを育てましたが、どれも食べきれなくて余らかしてしまったくらいです。春から秋は、スーパーで野菜は買いませんでした。

 

③寮、シェアハウスのメリット

金銭面、これに尽きます。大学時代は経済事情を考慮してもらい、2年間+1年間、計3年間を寮で過ごすことが出来ました。たぶん岩手大生のアパート相場が3万5千円前後だと思うので、その半額以下で過ごせたのは大きいです。また、僕の今住んでいる岐阜は家賃がやたらと高い。バストイレ別で最低4万円から。そんな中でうちのシェアハウスは光熱費ネットコミコミ3万円前半破格です。駐車場も4台無料だし。

重要なのは、シェアできる部分はシェアするのがお得ということでしょう。風呂やキッチン、公共料金の基本料金は一人で所有するにはコストがかかりすぎるとつくづく思います。

岐阜を離れて、いつか福島に帰った時も、シェアハウス生活が可能なら挑戦してみたいですね。

 

ということで新大学生、および新社会人の皆さん、せっかくなので共同生活を始めてみたらどうでしょう?共同生活に関する質問、随時受け付けてます!

ブログランキング・にほんブログ村へ

なにもしない時間


f:id:tamayosu:20210221183912j:image

先週の福島県地震、実家のある石川町はそれほど被害が無かったようです。しかし県内では人的被害や土砂災害が確認されました。

震災・原発事故から10年の節目を迎えるこのタイミングでの最大震度6強地震に、何かを感じてしまいます。コロナ禍の今、もし東日本大震災級の地震が起きたら、どうしよう?どうにかするしかない。でも、どうにかする準備が出来ているのかというと自信を持ってハイとは言えない。改めて持ち出し袋を整理しようと思います。

 

さて、今日のテーマは「すきま」。毎週日曜は家具屋でアルバイト。一日の作業を終えて、店内の灯油ストーブに電動ポンプを差し、スイッチを押したあと、思わず、ふぅと息をつきました。そしてふと思いました。「今おれ、なにもしてないな」って。

 

なにもしていない、とは、文字通りなーんにもやってないという意味です。いかに、自分の生活は「何かをする」ということで埋め尽くされているかに気付きました。それが例え、休んでいる自由な時間であっても。

 

最たる例が、スマホをいじるということ。一息つく時でさえ、無意識にスマホを触ってウェブ閲覧やSNSを見てしまう。休んでいるように思えて、実はスマホから情報を得ることに注力してしまっています。結果それは真に休めていない。

 

一方で、給油をしているときは、タンクから溢れないように気にしている必要があるし、灯油ポンプ触った手でスマホなんて触る気にはなりません。他のことをする余裕も実は無い。しかも給油の時間自体はそんなに長いものではない。だから必然的に、「なにもしない」時間になるのですね。そしてそれが最近の自分にとって、数少ない真の休み時間になっているなーと思いました。

 

さて、そんな時間がどれだけ自分に訪れるだろう。上手く休むってのはこんなに難しかったのかね。

 

給油が終われば、現実に戻されるような感覚がします。今日は一人回転寿司を食べて、明日に備えることにします。

 

そろそろ暖かくなってきて、給油の機会も減っていくかな。それまでに、真に休める時間を作れるようにしないとな。

ブログランキング・にほんブログ村へ

木の贈り物

箸を作っています。工房を卒業していく先輩へのプレゼントです。

 

箱とかスツールとか、機械加工がメインのものは作る機会が多いけれど、一から手で仕上げていくカトラリー系は作ったことあまり無かったなと思います。

やり方はシンプル。傾斜の付いた溝を彫って、そこに材料の9mm角程度の木を置いて、傾斜の分はみ出た部分をカンナで削る。

 

僕がちょくちょくお世話になっているヒダクマさん(株式会社飛騨の森でクマは踊るさん)でも先日ワークショップが開催されていたようですね。見に行きたかった!

箸づくりは木工に馴染みのない人でもお手軽に挑戦できるし、プロがやりこもうと思えばいくらでも趣向を凝らせる、とても良いワークショップになりそう。

この前は工房の仲間と、どうやったら五角形の箸が作れるかと議論して、結論、今の俺らには無理!となりました(笑)その後ネットで調べても、確かに五角形は難しいとのこと。ちなみに写真の方法では四角形ができます。そしてその角を落とせば八角形もできますね。

 

誰かへの贈り物を持っている時間、作っている時間は、そわそわして、自分がなんだか嬉しくて楽しい気分になりませんか。例えば家族や友人へのお土産を選んでいる時間とか。

 

工房内では、箸チームとお盆チームに分かれて、お膳セットを贈ろうとしています。先輩に見つからずコソコソやるしかないのと、それとは別にスツール作りの課題もあるので、ここから3月までは本当に忙しい!気合を入れて春を待つ!


f:id:tamayosu:20210207080847j:image

ブログランキング・にほんブログ村へ

心を温めるソウルフルな音楽3選

年が明けてからの数週間、自分の中でやってみたいこと、面白そうなことが次々と出てきて、しかしそれを実現する時間的・精神的余裕が無く、モヤモヤし続けております…。一旦立ち止まって、頭の中をリセットして、整理する時間が欲しい、皆さんはそんな風に思ったことはありませんか?。

そんな時僕は、ソウルフルな曲から元気をおすそ分けしてもらうことにしています。心の奥からじんわりと温かくなり、不思議と心が落ち着いてくる、今日はそんな曲をご紹介しします。

 

1.Somebody Else's Guy / Jocelyn Brown1984年)

出だしのパワフルな声と切なげなピアノに聴き入っていると、いつの間にか横ノリのミュージックに合わせて体が動き出し、こころも体も温まっている、そんな曲。何回聴いてもとりあえず元気が出てくるので、困ったとき、追い込まれたとき、とりあえず流します(笑)ブラックミュージックって素晴らしい。

Somebody Else's Guy

Somebody Else's Guy

  • provided courtesy of iTunes

 

 2.夏の子午線 / 久保田利伸(1992年)

 日本のR&B、ファンク、ソウル界をけん引する久保田利伸。昨年ようやくサブスクリプションでの配信が解禁され、僕は一人歓喜していました。「LA・LA・LA LOVE SONG」や「Bring Me Up!」など、リリースする曲はことごとくヒット曲なのですが、「夏の子午線」はそれほど有名な曲ではないかもしれません。それでもこの曲を聴くと、体がじわぁ~と温まってくるんです。寒い冬ですが、夏の景色を思い出しながらどうぞ。

夏の子午線

夏の子午線

  • provided courtesy of iTunes

 

 3.If I Ain't Got You / Alicia Keys(2003年)

落ち着いた曲調と力強い声に引き込まれるこの曲は、2005年グラミー賞で最優秀女性R&B楽曲賞を受賞しています。情熱的な歌詞は、とてもシンプルな英文なので、何となく意味を理解しながら聴けるのも嬉しいです。もちろん原曲も素晴らしいのですが、何よりアコースティックなバージョンがとても素晴らしいので、ぜひご試聴ください↓


Alicia Keys - If I Ain't Got You (Stripped)

 

コロナウイルス、寒い冬。辛いことの多い今ですが、少しずつ、身体を大事に、無理せず一歩一歩参りましょう。

 

ブログランキング・にほんブログ村へ

農学系学生の進路と第1次産業

先日、とあるシンポジウムで見かけた統計データが印象に残っている。全国の農学系大学生の進路先内訳というものだ。

 

改めて最新の学校基本調査(令和2年度)を見てみると、その内訳は以下のようになっていた。

f:id:tamayosu:20210111193232p:plain



何よりも印象に残っているのが、第1次産業である農業・林業に就職する学生の割合が全体の4%にとどまっているということだ。

職業に貴賤は無いのは当たり前のことである、と断った上で言うと、やはり少し寂しい結果に感じる(そういう自分は新卒で公務員になっていたが・・・)。

 

日本の食を支える「農」、国土の7割を占める森林に携わる「林」、この2つの産業がいかに重要なものであるかは言うまでもない。一方で、従事する方々を別の立場からバックアップするという職も重要だ。さらに言えば、どんな産業も、巡り巡って第1次産業に少なからず関わっているだろう。しかし、最後はやっぱり現場、現場なんだ。農水省で働く人の何割が土を耕したことがあるのか。死傷者年千人率()が全産業中最も高い林業の世界を覗いたことがあるのか。

 1年間の労働者千人あたりに発生した死傷者数を表す数値。令和元年度:全産業平均2.2に対し林業20.8ちなみに次点で木材・木製品業の10.8。

 

僕が林業行政職時代に感じたこと、そして退職し木工を始めてからも思うこと、それが「当事者意識の無さ」。あの時、自分は林業従事者の皆さんと同じ目線で森を見ていたつもりで見ていなかった。やっぱり心のどこかで、自分は当事者でないと思ってしまっていた。

 

そんな自分が、現場が大事と言っても説得力が無いが、反面教師として多くの学生に見てもらいたい。どんな職業に就いても、現場と同じ目線で見ること。これが大事。新卒で第1次産業に就かずとも、巡り巡って就くのもアリだ。僕の大学時代の友人の一人は、修士号を取ったうえで林業の現場へ飛び込んだ。彼はなにか面白いことをしでかしそうだ。

農学系学生が、現場に期待される人材であってほしい。

 

ブログランキング・にほんブログ村へ

湖の底から

2021年1月1日の朝、日本海側は大雪に見舞われる一方で、地元である福島県石川町は冬晴れだった。空気の清々しさのあまり、用足しに出かけるついでに少し車を走らせてみたくなった。

 

石川町を流れる北須川。春には川沿いに桜が咲き誇る素晴らしい川で、この上流には千五沢ダムがある。もともとは灌漑用のダムであったが、現在はこれに治水機能を付け加えるための工事が行われている。

f:id:tamayosu:20210107202937j:plain

治水機能付加工事中の千五沢ダム

 

ここのダム湖を母畑湖といい、これを見下ろせる場所までドライブ。元日の朝にはさすがに誰もいないだろうと思いきや、うっすらと積もった新雪の上に車の轍があったのには驚いた。

f:id:tamayosu:20210107202918j:plain

先客がいたようだ

 

渇水のため、ダム湖の底が見えていた。しんと静まり返った森の中、雪と水と土の織りなす芸術的な模様に、しばし見とれていた。湖底には動物の足跡があり、人生がサバイバルの彼らは、人間のように年末年始の慌ただしさに振り回されている暇はないのだろうと思った。

f:id:tamayosu:20210107202847j:plain

水と雲だけが流れていた

f:id:tamayosu:20210107203002j:plain

早起きな誰かの足跡

 

母畑湖を後にして、近くの千五沢神社へお参りに。境内の片隅には、千五沢ダム建設に関わる碑文が残されていた。これによると千五沢ダムのある地域は、かつての白河藩主・松平定信が家臣に命じて開拓させた地で、かつての名は南須釜村、現在は玉川村南須釜としてその名を残している。

そして千五沢ダムの建設により、集落の一部が母畑湖に水没したこと、それにより多くの人々が先祖伝来の地を離れざるを得なかったこと、南須釜を離れた方々の名前が記されていた。

さらに、広報いしかわ12月号によると、その多くは石川町の沢田地区へ移住したという。碑文には、見覚え、聞き覚えのある名前が多く記されていた。

僕の祖父もその一人。父も少年時代を千五沢で送った。千五沢は僕のルーツだ。

昨年度の台風19号により石川町内も甚大な被害を被った。進行中のダムの拡張工事が終われば、石川町が水害で悩まされることも減っていくことだろう。

阿武隈高地の深い山々と祖先の皆様方に合掌。千五沢永遠なれ!

ブログランキング・にほんブログ村へ

謹賀新年

f:id:tamayosu:20210104190216j:plain

石川商店街にて、石川町出身の漫画家・深谷かほるさんのイラストを発見。

新年あけましておめでとうございます。旧年はたくさんのご縁に恵まれ、本当に充実した1年を送ることが出来ました。まだまだ未熟な自分ではありますが、引き続きよろしくお願いいたします。

 

年末年始の帰省は、やりたいと思っていたことをほとんど叶えることが出来ました。お一人様が気軽に立ち寄れるスペースを作った方、少子高齢化や空き家の増加などの問題のある木の町・森の町で、かつての文化や歴史に注目し、地域おこしに取り組んでいる方にお会いできて本当に良かった。(お時間いただきありがとうございました!ぜひ、これから一緒に活動させてください!)

高校を出てから福島の外で暮らしてきた自分にとって、今の福島はいい意味で大きく変わっていて、今更自分の関わる余地が無いのではと思っていました。でもそれは杞憂で、まだまだ課題は山積み、つまりやれること・やりたいことで溢れていると気づくことが出来ました。

そして何よりの収穫が、木工一筋で生きてきた父と、一緒にモノを作る時間を過ごせたことです。下手くそなりに木工を学んでみて、初めてわかる父の凄さ。何事も当事者にならないと、誰かを理解することは出来ないと実感しました。

 

震災と原発事故から10年の節目を迎える今年、より一層自分のテーマ「木工×αでふくしまと自分の未来を見つめる」の実現に向けて邁進してまいります!

(ブログの方も引き続きよろしくお願いします!)

 

・こぼれ話

 地元石川町の老舗のお菓子屋さんに立ち寄った時の事。「久しぶり」「元気だった?」などの会話が福島弁で飛び交っており、地元に帰ってきたと実感できるとても心地よい空間でした。

 歌人石川啄木の歌にこのような歌があります。

「ふるさとの訛りなつかし停車場の人ごみの中にそを聴きにゆく」

I love you and I need you Fukushima!

 

ブログランキング・にほんブログ村へ