もののaware

飛騨にありて福島を思う

ミスは忘れたころに返ってくる

先週から、僕と同期の何人かで、とある1種類の製品を先輩の指示を仰ぎながら作っている。材料の段階から約2週間で納品というスケジュールの中で、ようやく製品の塗装までこぎつけた。一時は終わるのかと不安になったが、何とかなりそうだ。

 

もちろん、一つ一つの品質や作業の速さに関しては、先輩方には遠く及ばない。当然失敗も多く、けっこうお叱りを受ける。

 

特に自分自身、注意しなくてはならないと強く感じたことは、ミスは挽回できるときに挽回しておかないといけないということだ。一つの製品を一貫して担当すると、ミスは巡りめぐって未来の自分に返ってくるということが痛いほどわかった。

 

例えば、製品のパーツの加工時にできた欠けやキズは、気づいたら即、その場で修正するか、あきらめて破棄するのが正しい選択。これが組み立て・接着後は修正のしようがないことが多く、最悪の場合一つのパーツの不具合のためにその製品全体を破棄せざるを得ないこともある(というか今回そうなった)。

 

また、同僚の塗る接着剤の量が少し多い気がしていた。しかし少ないよりはいいだろうと思い、特に指摘をしなかった。すると後日、はみ出た接着剤を掻きとる作業が生まれ、それにかなりの時間を割かれてしまった。あのとき指摘して調整していれば・・・作業中に生じた違和感は、いつか表面に出てくるのだと思い知った。

 

風が吹けば桶屋が儲かるということわざがあるが、ミスについても同じことが言える。一つのミスは、一旦目の前から消えたように見えても、巡り巡って最終的には別の形で表に現れる。ミスの前には、もう観念するしかないのだ。

 

今やっている塗装の段階は、ただ塗料を塗るだけの作業にあらず。傷や欠け、へこみに気づいて修正ができる最後のチャンスだ。やはりここにきて、過去に置いてきたと思われるミスややり残しが目の前に現れ始めた。一緒に担当していた同期とも、あの時の傷だねと顔を見合わせている。お互い、傷には気づいていたのだ。

 

今回の反省を踏まえ、もう一度同じ製品を作ってみたい。

おそらくどうやってもミスは生じるだろう。しかし今は、どのタイミングで何に気を付けるべきか、ミスが発生したときにどう行動すべきか分かっている。今度は、風が吹いても、桶屋は儲けさせない。ミスによる被害を最小限に食い止め、品質とスピードを両立させたモノづくりがでいるようにしていきたい。