もののaware

飛騨にありて福島を思う

ハチドリのひとしずく

2か月ほど前の話だが、父がワクチン接種をした後、頭痛と嘔吐により病院で点滴を受ける羽目になった。ここ数年病院にお世話になる機会が増えてきてたこともあり、寄る年波には勝てないのか・・・といった具合である。

しかしまあ、昔から遊びまわることもせず、酒はほんの少し、たばこは全く吸わない父でも、倒れるときは倒れるのかと思うと少し悲しい。中には不摂生でもピンピンしている人もいるというのに。

同じようなことを、今年の夏の気候についても感じた。記録的な日照不足になった今年の夏であるが、温暖化や異常気象が人間の経済活動とどれほど因果関係があるかは議論の余地があるのはさておき、少なからず影響は与えているだろうと思うと、なんだかあほらしくなってくる。

これでも、環境問題には昔から関心はあり、自分の思うエコロジーな心掛けはしてきたつもりだ。しかし自分一人がいくら頑張ったところで、自然や気候に良い変化をもたらすのはさすがに難しいと感じてしまう。

それでも、かつてノーベル平和賞を受賞したワンガリ・マータイ氏の「ハチドリのひとしずく」が、自分を勇気づけてくれる。南米エクアドルの先住民に伝わるこの昔話では、山火事が起きた時、多くの動物たちが逃げようとする中、ハチドリはその小さなくちばしで一生懸命水を運んで火を消そうとする。それを見た動物たちは、なぜそんなことをするのか、無駄なこと、どうせ火を消せはしないと言った。それに対しハチドリはこう答えた。

「私は自分にできる最善の行動をしているだけだ。」

この世には、環境問題に限らず、ハチドリのようにわずかな水であろうと運び続ける人たちがいる。自分たちの行動が必ず変化をもたらすと信じ動き続けている。それを思うと、彼らの働きを無下にするであろう方向には動けない。

今年の冷夏が、人間のせいなのか、地球自身のそういう周期なのかは分からない。分からないなら分からないなりに、可能性のある行動をとるのが文明人のあるべき姿だ。口を出すだけの傍観者にならないよう生きていこう。

くちばしにチェリー

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