もののaware

飛騨にありて福島を思う

行きつく場所

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福島県石川町 野木沢地区にある「芭蕉苑」

 昔見た、アニメ「クレヨンしんちゃん」のこんなエピソードを覚えています。

 しんのすけとひろしは、街にオープンしたばかりのラーメン店に行きます。そこは行列の絶えない名店で、その日も長時間並ぶことになりました。

 やっとのことで店内に入るも、狭い店内にも待ち客がぎっしり。ようやく椅子に座れたかと思うと、メニューは一杯1,000円の塩ラーメンのみ。頑固おやじ一人で切り盛りするその店はマナーにやたらと厳しく、少しでも話し声をたてるとものすごい剣幕で叱りつけてきます。ひろしは、入って失敗だったと思い始めます。

 そして長時間待たされて疲れたしんのすけはまだかまだかと駄々をこね、案の定店主に注意を受けます。これをチャンスと思ったひろしは、こんな店こっちから出て行ってやると言ってしんのすけを連れて店を後にします。

 しんのすけに申し訳ないことをしたと反省するひろしでしたが、帰り道で昔ながらの町中華の店を見つけます。ここでもいいかと問うひろしと、いいよと答えるしんのすけ。家庭味溢れるそのお店で、1杯480円のシンプルな醤油ラーメンを食べ、2人は笑顔で岐路についたというお話。

 

 そして、また別の作品のお話。深谷かほるさんの「夜廻り猫」のとあるエピソードで、主人公の野良猫「遠藤平蔵」は、上京してきたばかりの若者に対し、見知らぬ土地でも①落ち着く場所 ②落ち着く人 ③落ち着く食べ物 の3つのうち2つを見つければやっていけると語ります。そして若者は遠藤に、米と卵しかないけど良ければどうぞと家に招くシーンでエピソードは終わります。

 

 自分も、遠く福島から見知らぬ地、飛騨高山へ来た身で、初めはどうしようもなく不安でした。今までも同じで、高校を出て岩手へ、岩手から長野へ、長野から飛騨高山へと、見知らぬ土地へ赴くことは常に不安が付きまとい、孤独になりがちです。

 そんな時、やっぱりこれだなと言える食べ物、やっぱりここだなと思える場所を見つけられれば、間違いなく心の支えになります。

 新社会人、新入生の皆さん、新生活には慣れましたか?五月病になっていませんか?行きつく場所、落ち着く場所を見つけましょう。そして、美味しいものを食べましょう。自分自身のメンテナンスが大切ですよ。

 

 最後に僕の行きつく場所、落ち着く場所のひとつをご紹介。

 地元、福島県石川町の野木沢地区にある蕎麦屋さん「芭蕉苑」。基本的に大盛りかつ10割蕎麦、なのにめちゃくちゃ安いという知る人ぞ知る名店。福島にいる方、今度行きましょう。

 

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10割天蕎麦大盛り。これで850円とかだった気がする。

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