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飛騨にありて福島を思う

世代後退

 

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ジムニーJA11 ワイルドウインドリミテッド

 

先日、車を乗り換えました。就職の際に慌てて買ったホンダ・ライフから、ジムニーへ。より古い車へ乗り換えるという世代「後退」です。

 

このジムニー、JA11という今ではマニアに人気の型式で、僕が生まれる前から母が乗っていた車で、幼少期の買い物も、大学から帰省した時の送り迎えも、いつもこの車でした。そしてどのシーンでも、擦り切れたカセットテープから大きめの音でドリカムやBOØWY(Øの変換が面倒・・・)、レベッカが流れていたのを思い出します。

 

エンジン音はうるさく、振動が大きく、燃費も良くないこのマニュアル車を、母はよくぞ今まで乗り続けてきたものだと思います。しかし、昨今の悲惨な交通事故のニュースを見るうちに、最新の安全装備はおろかエアバッグすらないこのジムニーを運転するのはさすがに不安になったようで。

併せて新型ジムニーの発表も後押しし、ついに新型を購入することにしたのだそう。そしてこのジムニーJA11はもう廃車にすると聞き、それはとてもモッタイナイ!ということで、僕が譲り受ける運びとなりました。

 

ちなみにこのジムニーJA11はワイルドウインドリミテッドと言って、3,500台限定で生産された特別仕様車です。また、母は一切カスタムやオフロード走行に興味がなかったので、無理な運転はしたことがなく、パーツはほぼすべて純正品のまま残っていて大きな故障もないのがちょっとした自慢。

 

飛騨に乗って帰るとなった時は、父も母も、このジムニーの第2の人生が始まるねなんて言ってみたり。僕も、リフトアップやタイヤインチアップ、オフロード走行には全く興味がないので、優しく長く丁寧に乗り継いでいきたいと思っています。

 

さて、まずは無事に飛騨に戻ってこれてよかったです。免許取って以来のマニュアル運転にも少しずつ慣れてきまして、まずはほぼ消えかかったナンバープレートを交換(黒字印刷はほぼ消え、凹凸でかろうじてナンバーが把握できる状態・・・)したら、車内に木のテイストを足していこうと思っています。

 

さらに、荷室を広く使うためにリヤシートを外し、構造変更申請をしようと思っていたら、何年も前に父が改造申請して取り外していました。やりおる・・・ゆくゆくは車中泊仕様にもしたいです。これでキャンプや登山、釣りなんてできたら最高だろうなあ!

 

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リヤシートを取り外したら、乗車定員を2名に書き換える申請が必要。

 

オートマ車の皆さん、加速が遅いけど大目に見てね。音もうるさくてごめんね。わがまま言ってすみません。

わがままジュリエット

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光南雪辱!聖光学院敗れる

福島県民にとって、少しばかりびっくりするニュースが飛び込んできました。

高校野球夏の甲子園出場をかけた福島県大会で、2007年から13連覇中だった聖光学院が敗れました。もし14大会連続甲子園出場となれば歴代最多タイ記録でした。

 

聖光学院高校野球部は、福島県民のみならず高校野球に詳しい人誰もが認める、県内屈指の強豪校です。僕自身が野球に興味を持ち始めたのがちょうど2006年頃だったので、それからというもの聖光学院が県大会で敗れるのを見たことはありませんでした。

 

そんな圧倒的王者でしたが、ここ数年は他の高校との力の差は縮まってきていました。聖光学院を王者とするならそれに次ぐ県内No.2ともいえる日大東北、同じく私学でしのぎを削りあう学法石川、公立の雄である光南福島商業など、聖光一強に待ったをかける状況になりつつありました。

 

そして迎えた今大会の準々決勝。相手は去年の準優勝校の光南高校。1対1のロースコアゲームで進む投手戦でしたが、均衡を破ったのは光南。8回に長打が絡み4点を勝ち越し、そのまま5-1で光南高校の勝利となりました。

 

聖光学院の連続出場の記録は途絶えましたが、記録はいつか途絶えるもの。歴代部員の皆は年々増していく連覇という重圧とも闘っていたのだと思います。いままでたくさんの名勝負を見せてくれてありがとう!

 

そして、光南高校おめでとう!近年の福島県大会で公立校で一番甲子園に近いと言われてきましたが、やはり実力のあるチームに育ってきましたね。甲子園出場となれば2006年大会のハンカチフィーバー大会以来となります。

 

福島県大会は4強がそろいました。対戦カードは日大東北郡山市-福島商業(福島市、福島成蹊福島市-光南矢吹町)。

この4校に関しては、もう大本命というものはないでしょう。例年安定して強い日大東北、今年の春の大会で準優勝した福島商業、準々決勝で優勝候補の学法石川にコールド勝ちした福島成蹊、そして聖光に勝った光南。どこが優勝してもおかしくありませんが、個人的には、実家に近い日大東北光南を応援しています。

 

準決勝は7月24日。梅雨も明け、いよいよ本格的な夏が始まる感じがします。新たな歴史の始まりを要チェック!今日も暑さに負けず元気にいきましょう。夏の到来を思わせる爽やかな一曲とともに!

 

ふたりのオルケスタ

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災害と選択の繰り返し

本を読んでいて印象に残った内容をご紹介。

 

1973年、アイスランド沖のヘイマエイ島という島で火山の噴火が起きました。幸い住民のほとんどが無事に救出されましたが、住民の約3分の1が家屋を失うことになりました。

 

これに対し政府は補助金を支給し、住民はそのお金で家を再建してもいいし、どこか別の場所へ移住してもいいことになりました。ヘイマエイ島の住民の多くは先祖代々の家業である漁業に従事し、自分自身これからも、そして次の世代も漁業で生きていくという前提で生きてきたと言います。そこで発生した噴火という災害によって、住民は自分たちがこの先どうやって生きていくのかという問題に嫌が応でも向き合わざるを得なくなりました。

そして結果的に、家を失った住民の42%が島を出るという決断をしたと言います。

 

そしてこの話には続きがあり、その後の追跡調査により、家を失って島を出た人々の生涯収入が、島に残った人々のそれを大きく上回っていたことが分かりました。

さらに、家を失わずに済んだ人々の27%も、その後島を出るという決断を下し、結果彼らの生涯収入もまた島に残った人々を上回っていたといいます。

 

この結果に対し、著者の山口周氏は、このように述べています。

どれもこれもすべて、噴火という「短期的には不幸な契機」によって、「この後、自分はどのようにして生きていくのか」という問いにしっかりと向き合わざるを得なくなった、という唯一の根本原因によっているのです。 

 

確実に言えることは、「この先、自分はどのようにして生きていくのか、これまでの人生を続けて、それでいいのだろうか」という問いにしっかりと向き合い、おそらくほとんどのケースは直感的に「それは違う」という決断を下した、ということです。 

 

全編を通して、コロナウイルスという「短期的には不幸な契機」に、自分たちがどう向き合い、これからどのような生き方を選択し、どのような社会を築いていくかを述べています。

 

コロナもそうですが、僕はこのヘイマエイ島の話に、10年前の震災と原発事故を重ね合わせながら読みました。日常の中に突如訪れた不幸な出来事に対し、多くの人が生活を変えることを余儀なくされ、人生が大きく様変わりしました。ヘイマエイ島と同様に、多くの人が、自分の生き方に向き合わざるを得なくなりました。

僕自身の身に起こったことでいえば、家計の変化で、大学の学費と入学金が一部免除になりました。もし震災と原発事故が起こらなかった場合、僕は経済的に大学に通うことができていたのだろうか、通えたとしても、収入を得るためのアルバイトに追われ、大学生活は違うものになっていただろうと、今でも思い返します。

福島のこと自体、好きとも嫌いとも何とも思っていなかったかもしれません。それが今では、福島に帰りたいと思っています。いろいろ思うことあっての気持ちです。

 

 

このコロナ禍でも、たくさんの人が生き方や働き方に対し疑問に思うことがあると思うし、それはきっと正しい。コロナ禍でなくたって、学校でも、職場でも、日常でも、ふと疑問に思ったり、すこしおかしいんじゃないかと思うこと自体、その感情自体に間違いというものはありません。

 

壁にぶつかって、選択を迫られて、選んでの繰り返しで、その壁がたまにめちゃくちゃ高かったりしますが、とにかく何かしら選択して、その道を進むことが大切なのだろうと思います。あのとき別の選択をしていれば・・・という後悔は必要なくて、すべて正解の選択になると思っています。

 

このコロナ禍で変わる社会、選ぶ道、もうすこしじっくり考えてみます。

安定したい自然と、不安定たらしめる人間

長引く梅雨と土砂災害。被害に遭われた方へお見舞い申し上げます。

 

以前お会いした造園の先生の言葉を思い出します。

「土砂崩れは、自然が自らの不安定さを解消しようとする現象。崩れることで安定した状態になる。」

土砂崩れは自然現象の一つにしかすぎず、そこに人間の暮らしが存在して初めて土砂「災害」になります。雪山の奥地で雪崩が起きても誰も気に留めないのと同じで、人間の暮らしの及ばない山奥で斜面が崩れても、僕たちの生活に影響が無ければ災害にはなりません。

問題になるのは、自然の安定した状態を、人為的に不安定たらしめている場合。一度人の手が入った場所を維持管理していく方法は2つ。これからも人の手を介入させ続け不安定さを解消するか、土砂崩れという自然の自浄作用に任せるか。

土砂災害が起きたときは、なぜその場所が不安定になっていたのかを検証することになります。無秩序な開発やずさんな造成が無かったか。近所の山や川をそういう目で見てみるのもいいかもしれません。

人の手が入るといえば、日本の森林面積の4割を占める人工林についても同じことが言えます。人工林とは木材を収穫するために作られた、いわば木の「畑」。誰だって野菜を育てるためには、草むしりしたり脇芽を欠いたり、虫や病気に気を付けたりします。苗を植えてからほったらかしにする人はほとんどいません(ほったらかし農法という言葉もあったりするけど・・・)。

木の畑も同様に、ほったらかしにしては良質な木材は得られません。それどころか、野菜畑であれば放っておいても枯れるだけで済むが、木の畑はそれだけでは済みません。

山奥から人家の近くまで、あらゆる場所に張り巡らされたスギ・ヒノキ等の人工林は、土を緊縛して土砂災害を未然に防止したり、川へ流れ込む水の量を調節する機能を持っています。こういった機能は、適切な「畑作業」があってこそ発揮されるものであって、人工林においてほったらかし農法をしてしまうと、それこそ土砂災害や洪水の元になりかねません。人工林は、もともと自然にとっては「不自然」なものであり、ではその不安定さを解消するためにはやはり人の手を入れ続けて管理するか、自然の自浄作用に任せるかしかないのです。

人の手では自然を支配しきれませんが、一度人の手を入れた場所は責任をもって人の手を入れ続けなくてはならないという事実。それとも、手入れを諦めて自然のあるがままに任せるか。里にも山にも、これ以上「耕作放棄地」を作りたくはありませんね。

クワガタ来訪記

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工房に一人の訪問客。ミヤマクワガタのオスである。

 

実物を見るのは子供のころ以来だったかもしれない。それでも東部の特徴的な突起を見て、一目でミヤマクワガタだと分かったくらいだから、幼少期の自然体験は侮れない。

 

あの頃はよく、親に連れられて木を蹴っ飛ばしに行ったものだった。家には虫かごがずらっと並んでいて、クワガタとカブトムシと、カラフルなゼリーが入っていた。あとは実家が建具屋なので、おが屑とか木っ端とか入れていた。

 

昆虫といえば、福島県田村市にある「ムシムシランド」を思い出す。旧常葉町にある公設民営の自然園で、常葉町特産の葉タバコ用を栽培するための腐葉土からカブトムシの幼虫がたくさん見つかったのがきっかけで、カブトムシをはじめとした甲虫のテーマパーク設立に至った。

 

このムシムシランド、今でも盛況のようで、いつの時代も子供はカブトムシ・クワガタに興奮するのだと少し安心した。というのも、僕の幼少期ですら、昆虫採集をする家は少なかったと思われるため、現代っ子はもっと昆虫採集から離れてしまっているのではないか・・・と謎の心配をしてしまう。

 

昆虫側からすれば人間に採集されずに済むから良いことだと考えることもできるが、昆虫に触れたことのない子供は、昆虫が人間の意外と身近で生命の営みを行っていることに実感を持てないまま育つので、昆虫はもちろん、自然への理解を広める機会を一つ失うことになるからそれはそれで良くないと思う。

 

まあこういう話をすると、自然を守ろうという考え自体がエゴとか綺麗事とかどうのこうのって話に広がりがちなのが辛いが、なんにせよ大人になってもクワガタに興奮できる自分であったことには嬉しさを覚えた。

 

たくさんの人に、昆虫に限らず野生の生き物にぜひ触れてみてほしい。暴れたりグネグネ動いたりするけど、奴らが脈打って生きているのが伝わってくる。そして、その辺の林でこいつら生きてんだなあと思うことができれば、近所の何の変哲もないちっちゃな雑木林はきらめいて見えてくる。

 

 (一年前にもムシの記事書いていました↓)

monono-aware.hatenablog.jp

 

 

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「雨にキッスの花束を」梅雨が楽しくなる名曲

 飛騨高山では久しぶりに雨が降り出し、そういえば梅雨の真っただ中だったと思い出しました。

 しかし梅雨で検索をかけると、なんと関東甲信以北はまだ梅雨入りしていないとか。いくら何でも遅くない?こんな年もあるのですね。

 雨が降ると個人的には気が滅入りますが、野菜にとっては久々の恵みの雨?工房農園に仲間入りしたナスと枝豆よ、大きく育て!

 

 さて、今日はぐずついた天気すら楽しくなりそうな1曲をご紹介。

 

雨にキッスの花束を / 今井美樹(1990年)

 ポップで明るいラブソングです。情景が思い浮かぶ歌詞が好きで、この曲は特にサビの日本語まわし?がとっても良い!雨が降っているシーンがこんなにも楽しく描けるなんて、すばらしい。

 浦沢直樹さん原作のアニメ「YAWARA!」のオープニングテーマにもなっていました。時間があれば、YAWARA!も観たいところです。

 あと個人的に、今井美樹さん大好きです・・・いくつになってもお綺麗です・・・

 

雨にキッスの花束を

雨にキッスの花束を

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紅一点


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先日、渓流釣りに出掛けた際の一枚。

うっそうとしたスギ林の中で、緑に囲まれたモミジを発見。

不思議なことに、このモミジにだけスポットライトのように光が当たっていました。

これを見て「紅一点」という言葉が思い浮かびました。調べてみると、もとは漢詩において、「緑の草むらの中に赤いザクロの花が咲いている」風景から生まれた言葉だとか。

現在では、男性の中に一人混ざっている女性のことを指す言葉になってしまいましたが、なるほど、今回のモミジはまさに「紅一点」の由来に近しいものなわけです。

そして紅一点=女性を指すという意味合いは、古い価値観の言葉って感じですね。この意味ではだんだん使われなくなるんじゃないかなあ。

 

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